「昔と同じように食べているのに太りやすくなった」
「若い頃は少し食事を減らせば痩せたのに、今はなかなか落ちない」
年齢とともに、このように感じる方は多いと思います。
そこでよく言われるのが「歳をとると代謝が落ちるから仕方ない」という話です。
もちろん加齢によって身体は変化します。
ただし、「30代、40代になったら代謝が急激に落ちる」というほど単純ではありません。

そもそも代謝とは?

私たちが1日に使うエネルギーは、大きく分けると、
・安静にしていても使うエネルギー
・歩く、家事、仕事など日常活動で使うエネルギー
・トレーニングなど運動で使うエネルギー
・食べたものを消化・吸収するために使うエネルギー
などから構成されています。
つまり「代謝が落ちた」と感じていても、実際には基礎代謝だけではなく、日常で動く量や筋肉量、食生活などが変化している可能性があります。

20〜60歳では代謝は大きく変わらない?

約6,400人を対象にした大規模研究では、身体の大きさや除脂肪量などを考慮すると、1日のエネルギー消費量は20〜60歳頃まで比較的安定していました。 そして60歳を過ぎる頃から、加齢そのものによるエネルギー消費の低下がより明確になります。 つまり「30歳を超えた瞬間から代謝がどんどん落ちる」というイメージは、現在の研究から見ると正確ではありません。 では、なぜ年齢とともに痩せにくく感じるのでしょうか?

    痩せにくく感じる理由① 日常の活動量が減りやすい

    年齢とともに変わりやすいものの一つが「日常の活動量」です。
    学生時代は通学したり、スポーツをしたり、遊びに出かけたりと、意識しなくても身体を動かす時間が多かった方もいると思います。
    しかし社会人になると、
    ・デスクワークが増える
    ・車での移動が増える
    ・休日も座って過ごす時間が増える
    ・仕事や家庭の都合で運動する時間が減る
    といった変化が起こりやすくなります。
    1回の変化は小さくても、毎日の歩数や立っている時間が減れば、1日の消費エネルギーも変わってきます。
    「食べる量は昔と変わっていない」のに活動量だけが減れば、以前よりエネルギーが余りやすくなるのは自然なことです。

    筋肉も少しずつ減りやすくなる

    加齢に伴って筋肉量や筋力も低下しやすくなります。
    特に運動習慣がなくなると、この変化は進みやすくなります。
    ただし「筋肉が減ったから基礎代謝が一気に下がって太る」と考えるのも少し単純です。
    筋肉量の低下そのものに加えて、筋力が落ちることで動く量が減る、疲れやすくなる、運動から遠ざかる、といった変化が重なることが重要です。
    年齢とともに、
    筋肉が減る

    身体を動かす機会が減る

    消費エネルギーが減る
    という流れが起こりやすくなります。
    だからこそ、年齢を重ねるほど筋トレと日常の活動量を維持することが重要になります。

    痩せにくく感じる理由② 食事・睡眠・生活環境が変わる

    年齢とともに変化するのは身体だけではありません。
    生活そのものも大きく変わります。
    仕事が忙しくなり、
    朝食を簡単に済ませる。
    昼は外食。
    夜は帰宅が遅くなる。
    飲酒や会食が増える。
    疲れて運動する時間がなくなる。
    こうした小さな変化が積み重なることがあります。

    「そんなに食べていない」のに増える理由

    食事量が多く見えなくても、
    ・揚げ物
    ・菓子パン
    ・お菓子
    ・アルコール
    ・ドレッシングやマヨネーズ
    ・カフェラテなどの飲み物
    などからカロリーが増えている場合があります。
    さらに、以前より活動量が減っていると、昔と同じ食事量でもカロリー収支が変わります。

    睡眠不足も無視できない

    年齢というより生活環境の変化ですが、睡眠不足も体重管理に関係します。
    睡眠を制限した研究では、空腹感や摂取カロリーが増える傾向が確認されています。
    寝不足になると「代謝が完全に止まる」わけではありません。
    問題なのは、疲労によって動く量が減ったり、食欲が強くなったり、高カロリーな食品を選びやすくなったりすることです。
    つまり、年齢とともに痩せにくく感じる背景には、代謝だけではなく「生活の変化」がかなり関係しています。

    年齢を重ねても痩せるために大切なこと

    「もう歳だから痩せない」と諦める必要はありません。
    年齢に合わせて、今の身体と生活に食事や運動を合わせることが大切です。

    ①筋トレで筋肉と筋力を維持する
    加齢に伴う筋肉量・筋力の低下に対して、筋力トレーニングは有効です。
    スクワット、ヒップヒンジ、ローイング、プッシュ系など、全身の大きな筋肉を使うトレーニングを継続していきましょう。
    ②「運動」だけでなく普段から動く
    週1〜2回ジムに行っていても、それ以外の時間をほとんど座って過ごしていると活動量は少なくなります。
    歩く、階段を使う、こまめに立つ、休日に散歩するなど、日常の活動量も大切です。
    ③今の活動量に合わせて食事を調整する
    若い頃と同じ食事が、今の生活に合っているとは限りません。
    食事を極端に減らすのではなく、
    ・たんぱく質を確保する
    ・脂質が増えすぎていないか見る
    ・炭水化物を活動量に合わせる
    ・間食や飲み物を確認する
    といった基本から整えていきます。
    ④睡眠と生活リズムも整える
    食事と運動を頑張っていても、寝不足で疲れていれば継続は難しくなります。
    身体づくりは、食事・運動・睡眠をセットで考えることが大切です。

    まとめ

    年齢とともに痩せにくく感じるのは、「代謝が落ちたから」の一言では説明できません。 20〜60歳頃までは、身体組成などを考慮したエネルギー消費量は比較的安定しているという研究もあります。 その一方で、年齢とともに筋肉量や活動量が減ったり、仕事・睡眠・食事など生活環境が変化したりすることで、以前よりエネルギーが余りやすくなることがあります。 大切なのは、年齢そのものを理由に諦めることではありません。 筋トレをする。 普段から動く。 今の活動量に食事を合わせる。 睡眠を確保する。 年齢とともに変わった「身体と生活」に合わせて、身体づくりの方法も調整していきましょう。

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